僕には生まれて間もない頃の記憶が、ほんの僅かに残っている。
まるで球体のように膨らんだ女が、揺り籠に近付いてくる。その見た目があまりに恐ろしくて、僕は泣き喚いた。耳を塞ぎ、顔をしかめて、さらに一回り大きくなった彼女にヒステリックに怒鳴られた、その忌まわしい出来事だけを今でも鮮明に覚えている。
物心がつく頃には、彼らの奇妙で恐ろしくてバカバカしい見た目が、その心の内に溜め込んでいる『ストレス』を表しているのだと分かった。そして、他人の姿がこんな風に歪に見えているのは僕だけだということも理解した。
レビュー