義妹に押し付けられた嫁ぎ先は、呪われた公爵閣下でした【約10万文字完結・5月7日更新完了予定】

著者:伊坂 枕

「あんなバケモノ公爵と結婚なんて、絶対に嫌っ!! そうよ、お姉さまならお似合いよね! 代わりにお姉さまの婚約者は私がもらってあげるわ!」

「このボクが、君みたいな魔法も使えない、貧相な使用人のような女と婚約すると? 思い上がりも甚だしいぞ!」

 血縁がないため、日々、義母や義妹からは虐げられ、召使のように扱われていたミルティア。
 日々の食事にも事欠く有様で、どんなものでも自力で調理して、なんとか毎日を生き延びていた。

 そんな中、義父と義母に甘やかされて育った義妹と、女の若さと見た目にしか興味の無い婚約者から、無残に婚約を破棄され、押し付けられたのは『呪われ公爵』と呼ばれるレンロット公との婚姻だった。

 おぞましい怪物姿の公爵は、この呪いが原因で、多くの人達から忌避され人間不信に陥っており……当初、ミルティアにもきつく当たる。
 だが、ミルティアにとって、調理の際に見慣れたタコの化け物のような姿は、それほどおぞましいものではなかった。
 それよりも、衣食住の保証された公爵家での生活は、実家である伯爵家の生活よりもずっと幸せなものだった。

「……こ、こんなにあたたかでふわふわなお布団……初めて……!」
「すごく新鮮な魚介類……!! 腐っても、カビてもいない食事が一日に三度も!?」
「こんな小さな擦り傷に『回復魔法』をかけていただけるなんて……公爵様って、本当は、すごくお優しい方なのでは……?」

 誠実に『呪われ公爵』に仕えた結果、ミルティアの行動があまりに想定外だったらしく、だんだんとレンロット公爵の固く冷え切った心を溶かして行く。
 そして、特技の料理で公爵様の心と胃袋を射止めてしまう。

 愛する女性の手料理により呪いが解けた公爵は、実は絶世の美青年だった。

 それを知った途端、手のひらを返して「婚約者を取り換えましょう!」と騒ぎ立てる義妹だったが、そんな身勝手を許す公爵ではなかった。
 やがて、ミルティアを虐めていた連中は、自業自得で落ちぶれて行く。

 これは、虐められ、蔑まれ、何でも食いつないで生き延びてきた少女、ミルティアが、呪われた公爵様に溺愛され、幸せになる話です。

 ※アルファポリス様にも先行連載しています。

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