「じゃあな、寄生虫。お前はもうクビだ」
そのように言われて、回復士のルーベルはSランクパーティーから追放された。理由はメンバー全体が強くなりすぎたために傷一つ負わずにクエストをクリアできるので、回復士など不要だからというものだった。
Fランク時代から共に戦ってきた信頼のおける仲間だと思っていたというのに、寄生虫扱いされたことが何よりもショックだったルーベルは、ただ黙って彼らの元を去るのだった。
しかし、パーティのメンバー達は、傷を負わないのはまさかルーベルの身体強化魔法によるおかげだったとは思いもよらないでいた。
ルーベルは回復魔法も一流だが、それ以上に身体強化魔法を極めて陰ながらパーティーを支えていたのだった。ルーベルのすさまじい魔法がなければ、彼らはいまだにDランクにも満たない弱小パーティーでしかなかったのだ。
一方でパーティーを追放されたルーベルは、今にも死にかけた獣人族の少女を救うこととなる。
「うそ……あの傷が、あっという間に……!」
「なに、これくらいかすり傷みたいなもんだ。俺の元の仲間たちは腕がちぎれたり内臓飛び出したりはしょっちゅうだったからな」
「す、すごい……!」
獣人族の少女を助けたことで、ルーベルは再びイチから冒険者として再開する決意をした。
やがて二人の活躍は語り草となり、国中にその名を知られるSSSランク冒険者へと成り上がる。
そんなルーベルの元へ現れる、満身創痍の元パーティーの面々。
今更戻ってこいだって? いやいや……逆に聞くけどあんたらなら戻るか? 普通に考えて、無理でしょ。
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