婚約破棄ですか? 殿下の呪いを抑えているのは聖女である私ですよ? 陛下も怖い顔をしていますが

著者:猪木洋平

「エレナ! お前のような女との婚約は破棄させてもらう!」
「え? 本気ですか? シュバルツ殿下」

 この国の王子であるシュバルツ殿下が、突然大声で私との婚約破棄を宣言した。

「聖女エレナ殿との婚約を破棄だと?」
「殿下は何を考えておられるのか……」

 周囲からそういった声が聞こえてくる。

「シュバルツ! お前はいったい何を言っておるのだ!」

 玉座に座る陛下が声を荒げる。

「父上! この自称聖女と結婚するなど、私は嫌なのです! 可愛げの1つもない! 私はカトレアと結婚します!」

 自称じゃなくて教会からムリヤリ認定されたんだよ。それに、可愛げがなくて悪かったな。私も、我が家と王家との政治的な繋がりがなければ、あんたなんかお断りだよ!

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