婚約破棄されたから、婚約者に全力で罵声を浴びせてやった

著者:間咲正樹

「エレナ、大事な話があるッ!」

 ――!
 私の婚約者であるディンゼル第二王子が、夜会の最中に突如声を荒げた。
 は? 大事な話?

「今この時をもって――僕は君との婚約を破棄するッ!!」

 ――!!!
 はああああああああ!?!?!?
 婚約を破棄だああああ!?!?!?

「ど、どういうことですかディンゼル様……」
「まったく、愚かな行いをしているという自覚すらないとは、とんだ痴れ者だな君は!」

 っ!?
 ……なんだと?

「フレンダに対する数々の嫌がらせ、身に覚えがないとは言わせないぞ!」
「ディンゼル様、私が悪いのです。どうかエレナ様を責めないでくださいませ」

 ――!
 男爵令嬢であるフレンダが、ディンゼル様にしなだれかかりながら上目遣いを向けた。
 こ、これは……!

「ああ、可哀想なフレンダ。エレナにそう言うように脅されているんだね? こんな心の優しいフレンダを陰でコソコソイジメているとは、吐き気を催す邪悪な行為と知れ、エレナ! 君は僕の婚約者には相応しくない! 修道院にでも行き、自らの愚行を生涯を賭けて反省するんだな!」

 その瞬間、フレンダが私にだけ見える角度で、勝ち誇ったようなゲスい笑みを向けてきた。
 ……なるほど、そういうことね。
 泥棒猫のハニトラに、まんまとバカが引っ掛かったってわけだ。
 …………そういうことなら、ね。

「――うるせええええええええええ!!!!!」
「「「――!?!?」」」

 こっちも容赦しねーぞ。

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