男子だと思っていた幼馴染との、親友のような恋人のような新婚生活

著者:はむばね

どうせ断るつもりだったお見合いの場に現れたのは、10年前に離れ離れになった親友だった。

「私に、しとかない?」

昔は男子にしか見えなかったのに、すっかり美少女に変貌した彼女……『ゆーくん』こと烏丸唯華は、結婚相手として自分を推す。
名家の跡取り息子である九条秀一は古くからの家訓に従い高校生の身にして結婚を急かされているのだが、唯華も似たような状況らしく。

「よく知らない相手と結婚するって、博打要素が強すぎるでしょ? その点、秀くんが相手なら気が楽かなって」

そんな軽いノリで、結婚を決めようとしていた。
一方、幼い頃から利益目当てで近づいてくる者ばかりで今やすっかり人間不信な秀一としても、かつての親友が相手なら気を許せる。
というか他の女性と同居生活など送れる気がしないため、実質他に選択肢がなかった。
そんな利害の一致により、ある種ビジネスライクに結婚が成立する。
ゆえに、美しく成長した唯華の『女性』の部分が垣間見える度ドギマギしつつもあくまで『親友』としての距離を保とうとする秀一だったが。

「秀くんが……結婚してください、って言ってくれたぁっ……!」

重い女だと思われないよう表面上は軽い調子で接しているが、唯華は10年前から秘めた恋心を密かに燃え上がらせているのだった。

誰よりも気の合う親友との生活は、昔と変わらずどこまでも楽しくて。
けれど、『親友』から本当の『夫婦』へ。
少しずつ少しずつ、二人の関係性は変化していく。

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