前世は最強の冒険者だった奴隷少年、パーティを追放された少女が自分を買ってくれたので彼女を世界最強の冒険者にするべく暗躍する

アルトは、父親の借金のため慈悲もなく奴隷商に売られ、人とも思われないぞんざいな扱いを受けていた。

ひ弱な少年が売れることもなく、奴隷商から酷い扱いを受ける中いよいよもう死ぬ――命の灯が消えようとしたそのとき、走馬灯のように前世の記憶がよみがえる。

SS級冒険者、リドウェル・アイゼンバーグ。
魔術を極め、剣術を極めた、世界最強の冒険者。
そして、この世ならざる存在"アストレイア"との死闘の末この世界を守り若くして死んだ、伝説の英雄だった記憶。

しかし、時は既に遅かった。
前世の記憶と"力"の使い方を思い出したが、肝心の身体が既に限界を迎えており、ここから抜け出す力すら残っていなかった。

さすがにもう死ぬ――――そう思った瞬間、一人の少女が現れる。

「私、この人を買うわ」

少女の名はリリィ。彼女によって買われることで、アルトは死の淵から救われ、奴隷と言えど最大限の自由を与えられる。
それにより、アルトはリリィに忠誠を誓うことになる。

リリィにはこの世界で一番の冒険者となり、最強のパーティを作り上げるという夢があった。

しかし、パーティを追放され、誰もメンバーとなってくれないという現状があった。
それでもリリィはめげず、今日もせっせと薬草集めのクエストに精をだす。

そこでアルトは決心する。
自分がリリィを世界最強の冒険者へと成り上がらせると。

前世の記憶が戻り最強とはなったが、今の自分が最強でも意味がない。
この生は、命の恩人であるリリィの為に。

アルトはお人好しで戦いにまだ不慣れなリリィに変わり、その伝説の英雄とまで呼ばれた前世からの才能をフル活用し、暗躍する。

これは、奴隷の最強冒険者アルトが、恩人であるリリィを世界最強の冒険者にするために暗躍する物語である。

前世の英雄は、今世では影の道を選ぶ。

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