侯爵令嬢のメリア・ヴァルジーは追い詰められていた。
母や弟から、王室主催のパーティで誰でもいいからダンスを踊ってこいと言われていた。
それは交友関係を広げ、ゆくゆくは結婚を前提とするためだったのだが……そもそもメリアは結婚する気などさらさらなかった。
しかし弟に尻を叩かれ、メリアは半ば無理矢理ダンスを誘いに行かされて、
(……ちくしょー、ええい、ままよ!
だれでもいいから声かけてしまえ!!)
目をつむったままヤケクソ気味に出した手が、メリアの運命を決定づけた。
これは、平凡な侯爵令嬢メリアが、平凡な男と恋に落ちる、平凡な物語である。
レビュー