お払い箱の令嬢は最弱騎士の幸せを願う

著者:八十八

 名門六貴族に名を連ねるロワール家の末っ子ソミュアは、加護の魔術しか授からず一族からお払い箱となり冷遇されていた。
 それでも政略結婚の道具くらいにはなるだろうと、同じく名門六貴族ファルマン家の末っ子アラドと無理やり縁談が組まれる。聞くところによれば、騎士叙勲を控えたアラドも極端に低い魔力しか授からず、最弱の騎士候補として一族から冷遇されているらしい。分相応の相手と言うわけだ。
「私たちって本当に似た者同士ね」
 アラドとの顔合わせで、ソミュアはたまらずそうつぶやいて笑いをこぼす。親の決めた相手だが、妙に気が合うのは境遇が似ているからだろうか。
 この人となら一緒になりたい――そんな気持ちを抱き始めた頃に、いよいよアラドの騎士叙勲式が行われる。アラドはその式典で弱々しい魔術を披露し、笑い者にされるのだという。
 そこでソミュアは、恐ろしいアイディアを思いついてしまった。

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