メイドなら当然です。 〜 地味仕事をすべて引き受けていた万能メイドさん、濡れ衣を着せられたので旅に出ることにしました。

著者:三上康明

「早く出て行ってください。あなたのように地味な顔立ち、野暮ったいメイドはこのお屋敷に似合わないと思っていましたから」

屋敷の主人が大事にしていた壺が割れてしまった。その罪を——濡れ衣を着せられてクビになったのは、地味で小さなメイド「ニナ」だった。

ニナは周囲からあまり理解されないながら、お屋敷のあらゆる地味仕事をこなしていた。
ちらかった作業具の整頓。主人一家やお客様の好みに応じた調味料や食材の仕入れ。雑なメイドのやり残した掃除。気分の乗らないお坊ちゃまお嬢様を勉強させること。美術品の贋作返品。季節もの衣類のメンテナンス。etcetcetc……
ニナがいなくなって、一見お屋敷はなにも変わらなかった。それが少しずつ崩壊していくのだが……それはもうニナには関係のないことだった。

メイドとして働くことがすべてだったニナは、ふと気が向いて観光の旅に出ることにした。
そしてその先で「不運な」少女たちと出会うことになる。

異常な魔力量を誇るのに上手に扱えない、魔導士のエミリ。
すばらしく頭がいいのになぜか実験が成功しない、発明家のアストリッド。
食事が合わずにお腹を空いて全然力が出ない、月狼族のティエン。

少女たちは万能メイド、ニナのおかげで自分たちのほんとうの力を出せるようになった。
その力を結集すると、軽く軍隊レベルに匹敵してしまうのだが……それをニナが知ることはなかった。

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