「俺と付き合ってください!」
「ごめん。今のあんたとは付き合えない」
高校一年生の秋――ブス・デブ・低身長・勉強ダメ・スポーツダメ・コミュ障・ぼっち、いじめられっ子と、モテない要素を一通り網羅したような存在である俺、桜庭 樹(さくらば いつき)は、学校で唯一知り合いである幼馴染の神楽 アリサ(かぐら アリサ)に、勇気を出して告白をした。しかし、結果は玉砕だった。
小学校の時に、両親の仕事の都合でロシアに行ってしまった彼女は、小さい頃からよく一緒に遊んでいて、凄く優しくていい子だった。そんな彼女は、高校に上がる際に帰ってきた。
でも……再会した彼女は……なんていうか、近寄りがたい雰囲気になっていた。それでも幼い頃からの気持ちを伝えたくて告白をしたんだけど……人生はそんなに甘くなかったよ……あはは……。
そんな事を思いながら、誰もいない公園に来て一人落ち込んでいると、一人の女子に話しかけられた。彼女は清楚を具現化したような女子で、何故かコミュ障の俺が、警戒感を一切抱かなかった。
「何かあったの? よかったら私で良ければ話を聞くよ」
「でも……ご迷惑ですよ」
「全然迷惑じゃないよ。ていうか、そんな落ち込んでるのを見て何もしないでさよならの方が、寝覚めが悪くてよっぽど迷惑だわ」
俺は隣に座った彼女に幼馴染にフラれてしまった事を話すと、彼女は静かに聞いてくれた。
「そう。じゃあアドバイス。見返してやればいいじゃない」
「見返、す?」
「その女子にフッた事を後悔させるくらいカッコ良くなればいいの。いじめられないくらい強くなればいいの」
「カッコよく……強く……そんなの……できるわけ……」
「どうしてやってもいないのに決めつけるの? 自分を過小評価する原因は知らないけど、やりもしないのに諦めるから今の結果なんじゃないの?」
……そうだよな、確かに彼女言う通りだ。アリサにフッた事を失敗したなと思わせるくらいは、凄い男になりたい。如月に、もう白豚だなんだって言われていじめられるのが出来なくなるくらい、凄い男になりたい。やってやる……やってやるぞ! 俺は……変わるんだ!
これはずっと片思いをしていた相手にフラれた男子高校生が、醜い自分を変える事に奮闘して幸せを手に入れる物語。
レビュー