【コミカライズ】婚約破棄の悪意は娼館からお返しします

レビュー(1件)
著者:皐月メイ

コミカライズに伴い「婚約破棄され、娼館にて」からタイトル変更させて頂きました!

「シャロン・レイ・フォンドヴォール。貴様との婚約を今ここで持って破棄をする!」

王太子より婚約を破棄されたフォンドヴォール公爵令嬢シャロン。
大勢の前で婚約破棄を宣言され駆け出した彼女は、拉致され娼館へ売り飛ばされそうになるが…

「ーわたくしを、どうかこちらで、働かせてくださいませ。」

淑女の鏡と称された教養とプロデュース力で、寂れた娼館と娼婦たちをあっという間に花街一番の人気店にしてしまう。
そうして花街を含む領地を治めるデュバル公爵令息がお忍びでシャロンを見にやってきてー。

「もちろん頂きました悪意は全て、きっちりお返しいたします」

婚約破棄をされた公爵令嬢が、生き生き働く話。

11/6より、コミックウォーカー様、ニコニコ漫画様にてコミカライズ連載開始です。

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レビュー

  1. Mr.h より:

    男爵令嬢ミレルダの謀略により王太子アンドリューから婚約破棄を言い渡されたシャロンは実家に戻ろうとした刹那、ミレルダと近いヴォルトン子爵家のカールとペニー男爵家のダニーによって拐かされてしまう。

    拐かされた先は王国でも強い影響を持つデュバル公爵の治めるルネスコ領の薄汚い娼館。さすがに貴族令嬢を娼婦にするつもりなどない女主人カミラは公爵のもとに行くことを勧めるが、どういうかけかシャロンは小間使いとしてここで働くことを志願する――が序盤のストーリー。

    シャロンは自分の宝飾品を売り払い、その金で娼館を改装し、貴族令嬢として身に付けているリソースを娼婦たちに仕込むことで娼館の付加価値を上げて人気店にするという展開はまさに投資ファンドが出資した会社の価値を向上させて他社に売却したり上場させてりすることで利益を得るのと同じ構図であり、データを集めて客の傾向を導き出すというマーケティングの基本を描くことで、時代小説にありがちな現代性を取り入れているのが分かる。

    また、貴族の中でも最下層である男爵の令嬢であるミレルダがなぜアンドリューを奪うことができたのか、そして今まで貴族令嬢として生きてきたシャロンが市井、しかも娼館での暮らしに何の問題もなく溶け込み、そこで躊躇なく働くことができたのかという謎を読み手に提示することで物語に厚みを持たせているのが分かる。