「お前とは婚約破棄をする! 悪魔の子と結婚など出来るか!」
婚約関係だった王子様から、私――フェリシア・バギーニャは突然婚約破棄を言い渡された。
私の家は、代々聖なる力を持つ乙女である聖女として、国を”瘴気”と呼ばれる災いから守り、瘴気を浄化する役割を持っていた。私も幼い頃から聖女になるために、たくさん勉強してきた。
儀式によって神様に聖女として認めてもらい、神様の加護を受ける儀式が行われる。丁度十八歳の誕生日に行ったのだが……そこでとんでもない事が発覚した。
なんと、私の持つ魔力には、聖女が持つはずの光の魔力以外にも、忌み嫌われている闇の魔力がある事が判明した。
聖女が闇の魔力を持っている――それは婚約者の王子様の耳にも入った。結果、王子様はこうして私を悪魔の子と呼び、婚約破棄を突きつけてきた。そのうえ、私の妹との真実の愛に目覚めたから婚約するとまで言われる始末。
不幸はまだ終わらなかった。私は悪魔の子として家の人に嫌われたうえ、聖女になれない面汚しと罵られ……家を追放されてしまった。代わりの聖女は妹が務めるらしいが……ワガママな妹は聖女の勉強をしていない。そんな妹に務まるはずもない。
そう思って説得を試みたけど、全く受け入れてもらえず……全てを失い、国外に追い払われてしまった私は、どこにも行くあてがなく……散々歩き回り、瘴気の蔓延する森の中で倒れてしまった。
せめて聖女として、死ぬ前に一度は役目を果たしたい。そう思い、迷い込んだ森の瘴気を浄化して……そして意識を失った。
最後に聖女らしいことが出来て良かった。そう思いながら意識を手放した私だったが、次に目を覚ましたら、そこは隣国のお城の一室だった。
――これは悪魔の子にされてしまった私が、聖女としての覚悟を貫きながら、真実の愛に目覚めるお話。
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