「カイン・アベル。私に殺されるか、自決するか、どちらか選べ」
その選択を迫られたのは幼馴染に嵌められた諜報員(スパイ)、ギフト【百面相】を神に与えられた貧困街出身の少年『カイン・アベル』。
拾ってくれた恩を返すために頑張って来たのに、「魔力ゼロの無能!」と罵られ、これまでの全てを否定される。
絶望するカインだが、ある冒険者の言葉を思い出し、ギルドから逃げ出す事を決める。
「スパイは『秘匿』する」
カインはギフトの力を隠し続けていたが、ギフト【百面相】は本当の力は『契約者』100人分の「神の力(ギフト)」を使用できる超有能なギフトだったのだ。
華麗にスパイギルドから逃げ出した『カイン・アベル』は『ベイル・カルナ』と名前を改め、最難関と言われる冒険者試験に臨むが、大きな問題にぶち当たる。
(は、恥ずかしすぎるッ!!)
12年ぶりに「自分の顔」で外に出たカインは、そのあまりの恥ずかしさにタジタジ。極度の人見知りで心臓バクバクしながらも、スパイで培った力を駆使して、自分の心に従って、精一杯生きていく。
その内、たくさんの仲間と出会い、認めてくれる人達の存在のおかげで、それは徐々に克服されていく事になり……。
一方、カインを逃してしまったスパイギルドはカインを屠るために動き出すが、カインの弟子だった『リリア・ミスト』以外、一切痕跡を見つけられない。
それどころか、カインがギルドを去った事で、何もかもが上手くいかなくなって……。
これは『存在しない人間』として生きてきた諜報員(スパイ)が、盛大に恥ずかしがったり、深読みしすぎて勘違いを炸裂させながらも、美人エルフや狼人の幼女、スパイ時代の弟子とパーティーを結成し、『自由』を謳歌する物語。
レビュー