マテウス・ホーファーは鞄を開いて驚いた。見知らぬネコが入っていたのだ。
城を出て国境に向かう旅の途中だ。引き返すこともできない。
──捨てていこう。
そう思ったマテウスだったが、ネコはどうしても離れてくれない。仕方なしに連れていくことにしたが、失意のどん底にいるマテウスにはネコのぬくもりが思いの外、心地よく感じられた。
──ネコのいる旅も案外悪くない。
そう考え始めた矢先……
◇エブリスタにも掲載しています
◇エブリスタの『新星ファンタジーコンテスト(テーマ・旅は道づれ)』で佳作をいただきました
レビュー