花男爵と枯れ木令嬢の婚約

 ジュリアはウッドクライス伯爵家の娘である。
 しかし彼女は伯爵が平民に産ませた庶子で、二年前に引き取られた令嬢であった。
 
 
 彼女は容姿も頭脳も特殊能力も父親譲りで、とても賢く優秀な少女だった。
 
 しかしそれが却って妬みを買い、正妻や正妻の産んだ兄姉達から冷遇され、無視されることになった。
 
 ろくに食事も与えられず、父に命じられた勉強時間以外は朝から晩まで使用人同様に働かされたので、ジュリアは酷く痩せていた。
 
 それため彼女は、家族からは枯れ木娘、使用人達からは枯れ木令嬢と呼ばれていた。
 
 しかし世界中を飛び回り、仕事が忙しい父親はほとんど家にいなかったので、そんな娘の状況に気付かなかった。
 
 そんなある日、父親から娘達に縁談が舞い込んできた。父親の仕事のパートナーである男爵だという。
 
 二人の姉達は父が持ち込んで来た縁談話を強く拒否した。
 伯爵令嬢である自分達が格下の男爵家に嫁入りだなんて冗談ではないと……
 
 そして姉達からその縁談を押し付けられたジュリアは、護衛と共に顔合わせの場所に向かった。
 
 どうせ父親と同年代のおじさんだろう。だけど高位貴族よりも男爵様の方がいいわ。どうせ私はエセ伯爵令嬢だもの……
 
 そう思っていたジュリアだったが、目の前に現れた男爵を見て驚いた。
 
 何故ならその縁談の相手は大農園の経営者で『花男爵』と巷で評判の、まだ若い青年だった。
 しかも鮮やかな紅いサラサラ髪に、明るく輝く緑色の瞳をした絶世の美男子だったからだ・・・
 

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 ファンタジー要素強めの話で、特定の国のをモデルにしていません。王侯貴族の決まり事もゆるふわ設定です!
 

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