短編「天使の顔も四度まででしてよ」

私の名はイルク公爵家の長女アロンザ。

卒業パーティーで王太子のハインツ様に婚約破棄されましたわ。王太子の腕の中には愛くるしい容姿に華奢な体格の男爵令嬢のミア様の姿が。

国王と王妃にハインツ様が卒業パーティーでやらかしたことをなかったことにされ、無理やりハインツ様の正妃にさせられましたわ。

ミア様はハインツ様の側妃となり、二人の間には息子が生まれデールと名付けられました。

私はデールと養子縁組させられ、彼の後ろ盾になることを強要された。

結婚して十八年、ハインツ様とミア様とデールの尻拭いをさせられてきた。

十六歳になったデールが学園の進級パーティーで侯爵令嬢との婚約破棄を宣言し、男爵令嬢のペピンと婚約すると言い出した。

私の脳裏に十八年前の悪夢がよみがえる。

デールを呼び出し説教をすると「お前なんか母親じゃない! 俺の母親は俺を生んでくれた母上だけだ! 俺はペピンとの真実の愛に生きる!」と怒鳴られました。

この瞬間私の中で何かが切れましたわ。

「昔から仏の顔も三度までって言うでしょう? 当時王太子だったハインツ様からの卒業パーティーで婚約破棄され恥をかかされる。前国王陛下と王太后陛下から、卒業パーティーでハインツ様がしたことをなかったことにされ正室になり仕事だけするように言われ、誇りを傷つけられる。現国王陛下とミアさんの息子であるデールを、強制的に私の養子にさせられる。これまで私は王室に三度煮え湯を飲まされてきました。……そして四度目がデールと侯爵令嬢の婚約破棄。もうこれ以上は面倒を見切れませんわ」

十八年かけて全権を握った私は、ハインツとミアとデールを見捨てることにした。

※ヒロインは気が長いです。

「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」

他サイトにも投稿してます。

※タイトル変更しました。

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー