「ナディア、僕は君を愛すことが出来ない!君よりもミナミのことを守ってあげたいんだ!」
私の婚約者であった殿下はよりにもよって私に婚約破棄を言い渡したのだ。しかも、私を捨てた理由は私の実の妹であるミナミが原因だった。
「おねぇちゃん、私も殿下のことが好きになってしまったの。譲ってくれるよね?」
この子は昔からこれだ。自分が望めばなんだって叶うと思っている。
「そうか、そうか、ミナミがそういうのならナディアは諦めなさい。」
「そうよナディア、ミナミは体が弱いんだからあなたが譲ってあげなさい。」
その原因はこの両親だろう。ミナミは昔から体が弱く病気がちだ、そのため両親はいつもミナミのことを一番に考え、彼女の要求には何だって答えてきた、私のことを犠牲にして。彼らの言い分では私は病気がちではないから妹のために我慢しなければならないのだ。
「もう我慢できない!あなた達とは縁を切らしていただきます!」
しかし、彼らは知らない。ミナミは病気がちなのではなく、呪いに侵されていたのだ。私には物心がついたときから聖女の力があった。この力でミナミの呪いの存在に気づいたのだ。
そして、その呪いがうつることも知った。だから私は今まで誰にも打ち明けず、彼女の呪いの症状を聖女の力で抑え込んでいた。
だけど、もうそんなことはしてあげない。私が陰でどれだけ苦労しているかも知らないで!殿下、気を付けてくださいね。私はミナミのために聖女の力を使いませんからその呪い、うつりますよ!
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