大陸の中央にある強国、ウェストラント王国の王族は「勇者」の一族である。
数カ月前に、第一王子が、王国としては数十年ぶりにドラゴン討伐に旅立ち、大陸の人々はその活躍を心待ちにしていた。
そう、私には、全く関係ない話のはずだった。
私が拾った記憶喪失のこの男が、第一王子その人でさえなければ――。
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記憶をなくした美しくも傲慢なこの男は、記憶を取り戻して迎えに来ると言い残し、迎えの騎士と共に去っていった。
けれど、私は約束を守ってここで待つわけには行かない。
記憶を取り戻した王子に見つかったら、私は、間違いなく殺される。
王子の記憶を奪ったのは何を隠そう、この私なんだから。
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「隷属も、生贄もお断わりよ」「たたき伏せてやる。お前は、俺の獲物だ」
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どうせ逃げられないのなら ~逃げたい私と逃がさない勇者の逃亡劇~
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