どうせ逃げられないのなら ~逃げたい私と逃がさない勇者の逃亡劇~

著者:瀬里

 大陸の中央にある強国、ウェストラント王国の王族は「勇者」の一族である。
 数カ月前に、第一王子が、王国としては数十年ぶりにドラゴン討伐に旅立ち、大陸の人々はその活躍を心待ちにしていた。
 そう、私には、全く関係ない話のはずだった。
 私が拾った記憶喪失のこの男が、第一王子その人でさえなければ――。
——-
 記憶をなくした美しくも傲慢なこの男は、記憶を取り戻して迎えに来ると言い残し、迎えの騎士と共に去っていった。
 けれど、私は約束を守ってここで待つわけには行かない。
 記憶を取り戻した王子に見つかったら、私は、間違いなく殺される。
 王子の記憶を奪ったのは何を隠そう、この私なんだから。
———
「隷属も、生贄もお断わりよ」「たたき伏せてやる。お前は、俺の獲物だ」
———
 他のサイトでも公開しています。

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー