目が覚めたら投獄された悪女だった

レビュー(1件)
著者:皐月メイ

義母や異母妹に虐げられて暮らすソフィアは、日々母親の形見の本を手に薬作りに勤しんでいた。

そんなある日、いつものように目覚めたら稀代の悪女と名高い公爵令嬢、ヴァイオレット・エルフォードになっていた。

「殿下の婚約者に無体を働くなど、馬鹿な真似を」

そう言ってソフィアに厳しい眼差しを向けるのは、美しい騎士のクロードだった。
ヴァイオレットの婚約者候補だという彼は、ヴァイオレットを心から嫌っているようで。

「人違いで投獄なんてどうしよう…」

途方に暮れつつも、食事は三食もらえるし、暖かいお部屋で日がな一日薬作りをしていていい。
おまけに自分を嫌っているクロードは、毎日美味しいお菓子を持ってきてくれる。

「ここは天国……!?」と牢獄生活を満喫するソフィアだが、生家であるオルコット伯爵家はとんでもないことになっているようで――。

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レビュー

  1. はるかぜ より:

    十六歳でありながら事実上幽閉されている伯爵令嬢ソフィア・オルコット。
    ある日、目が覚めたら幽閉されていて、悪名高い公爵令嬢・ヴァイオレット・エルフォードの身体に憑依していた……というところから始まる。

    ・ソフィアは幽閉されたヴァイオレットに憑依したのか
    ・そしてヴァイオレットは一体何をやらかし、なぜやらかしたのかという

    複数の謎が投げかけられ、引き込まれる。

    また、主要な登場人物であるソフィアとヴァイオレットの入れ替わりにより、物語の中で新たな展開が生まれている。

    入れ替わった先での振る舞いにより結果的にヴァイオレットの姿のソフィアは幽閉先の軟化。
    そしてソフィアの姿のヴァイオレットは立場の逆転とオルコット家の掌握……というどちらも良い方向へと転がっている。その様子が非常に面白い。

    物語が進むにつれて、教誨師の神父の登場する。
    物語に重要な要素を加え、物語が大きな展開に向かっていることを示唆している。

    最後の最後まで見逃せない作品になっている。