心が読める江洲場さんには、僕の恋心はバレバレ

著者:間咲正樹

「今日は転校生を紹介する。さあ、みんなに自己紹介してくれ」
「は、はい。江洲場彩果(えすばさいか)といいます。よ、よろしくお願いします」

 ――!!
 たどたどしくも自己紹介する転校生に、僕の目は釘付けになった。
 サラサラの流れる黒髪に、銀河が詰まっているのではないかというくらい、吸い込まれるような輝かしい瞳。
 プルンとした甘そうな唇に、陶器のようにシミ一つない肌。
 神様が生み出した芸術品とも言えるそのご尊顔に、僕は一目で恋に落ちた。

 ……美しい。

「えっ!!?」

 ……ん?
 江洲場さんが、顔を真っ赤にしながら僕のほうをガン見してきた。
 お、おや?
 僕の顔に何か付いてますか?

「どうかしたか江洲場?」
「い、いえ! な、何でもない、です」
「そうか。江洲場の席は久留米(くるめ)の隣だ。久留米、今日は江洲場に教科書を見せてやってくれ」
「は、はい!」

 うおおおおおお!!!!
 これは何という役得!!
 僕の今日までの人生は、江洲場さんに教科書を見せるためにあったと言っても過言ではない!

「よ、よろしくね、久留米、くん?」
「こ、こちらこそ!」

 隣に江洲場さんが座った瞬間、そこがまるで神域かの如く神々しい空間になった。
 嗚呼、天使や……!
 僕の隣には今、天使が舞い降りておる……!

「はううぅ……」
「??」

 またしても江洲場さんは耳まで真っ赤にしながら、両手で顔を覆ってしまった。
 いったい江洲場さんの身に何が!???

「あ、あのこれ、よかったら一緒に見よ」

 僕はそそくさと机を寄せ、江洲場さんに教科書を差し出す。

「うん、ありがとう、久留米くん」

 そんな僕に、江洲場さんは天使の笑みを向けてくれた。
 天国かなここは???

「はううぅ……」
「??」

 江洲場さん???

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