オタク男爵令嬢とオタクに優しいチャラ男侯爵令息

著者:間咲正樹

男爵令嬢のセシリーは生粋のオタクで、貴族学園の放課後は、いつも自習室で漫画を描いている。
そんなある日、セシリーは自習室に向かう途中の廊下で、たくさんの令嬢に取り囲まれた、侯爵令息のライナスを見かける。
ライナスはスクールカーストトップのチャラ男で、いろんな意味で自分とは住む世界が違う人種。
セシリーはライナスたちから目を逸らし、自習室に歩を進めた。

陽が沈みかけるまで自習室で原稿を描いていたセシリーだが、今日もカーテンで仕切られた隣の席に、誰かが座っている気配がする。
とはいえ、それが誰か確かめる理由も勇気もない。
原稿を鞄に仕舞い、帰ろうとしたその時――隣の席からペンが転がってきた。
流石に無視するのは忍びないと、ペンを拾いカーテンを開けるセシリー。
が、何とそこにいたのはライナスその人であった――。
あまりの出来事に、その場で尻餅をついてしまう。
しかもその拍子に、鞄から原稿が飛び出してしまった――。
――ああ、終わった。
――明日から私は、ライナス様たちから一人で漫画を描いてるキモオタと嘲笑されるんだわ。
絶望に打ちひしがれるセシリーだったが、ライナスは、
「マジでッ! スッゲェじゃん君ッ!」
「……え?」
少年のように、エメラルドの瞳をキラキラさせ……!?

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