元々は孤児だった私が、聖女として迎えられてから十年が経った。
神に祈りを捧げる聖女の儀まで後半年というところで、婚約者であるリオン殿下に呼び出される。
そうして玉座の間に向かった私を待っていたのは、私を苛めていた令嬢と、彼女の横で親しげに立つリオン殿下だった。
「聖女とは名ばかりの卑しい娘め! お前の横暴振りは俺の耳にも入っている。今すぐ聖女の位を返上し、ここから――いや、この国から去るがいい!」
そうして私は、国外に追放されることになった。
国境までの馬車に同乗するのは、追放した本人であるリオン殿下。
彼いわく、逃亡しないように監視するためらしい。
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