どうやら俺の能力は、強くなるたびに悪名が高まる仕様らしい

著者:サンボン

 人間が、女神から授けられる祝福(ギフト)の恩恵を受けて暮らす世界。

 西方諸国にある強国、ノルドマルス帝国の貴族家の一つ、ザイフリート伯爵家の長男として生を受けた“ルドルフ”もまた、十歳の時に『洗礼の儀』によって祝福を授かる。

 ――祝福の名は、【悪名】。

 だが、そんな不吉な祝福を帝国の長い歴史の中でも授かった者はおらず、首を傾げるルドルフ。
 一緒に祝福を授かった幼馴染の親友、“ラウル”もまた、【傾国】という聞いたこともない祝福だった。

 だが、その祝福こそが、ルドルフの人生を狂わせた。

 ルドルフは、強くなることを引き換えに、【悪名】を帝国に轟かせ、忌み嫌われ、恐怖される。
 たとえそれが、血の繋がった家族であったとしても。

 十三歳を迎え、ルドルフの元に縁談が舞い込む。
 その相手は、幼馴染の親友で、ずっと男だと思っていたラウル……いや、“ラウラ”だった。

 久しぶりに再会し、ルドルフは彼女の境遇を知った。
 彼女もまた、祝福によって人生を狂わされていたのだ。

 【傾国】によって魅了された男達の欲望に晒されてきた彼女に、『ずっと守る』という約束を改めて誓うルドルフ。

 その日以降、ルドルフはひたすら強さを求めた。
 たとえ【悪名】が高まってしまったとしても、本当の自分を見てくれる……好きでいてくれる彼女を守れれば、それでいい。

 十八歳に成長し、帝国最強の強さと【悪名】を手に入れたルドルフは、美しく成長したラウラと共に、新天地へと向かった。

 ――ささやかな幸せを夢見て。

 これは、【悪名】によって全ての人間に忌み嫌われた一人の青年と、【傾国】によって魅了された男達に狙われた一人の少女の、ほんの小さな幸せを叶えるための物語。

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