次期公爵夫人の役割だけを求めてきた、氷の薔薇と謳われる旦那様が家庭内ストーカーと化した件

レビュー(1件)
著者:皐月メイ

タイトル変更しました。
12/7よりパルシィさんにてコミカライズ連載開始です!

「あなたを愛することはない。――っ、何を、」
「素敵なお言葉のお礼ですわ!」

初夜の日に次期公爵である夫――アルバートから、あなたを愛することはないと言われて激怒し、枕を投げつけた妻ヴィオラ。

無礼な夫のことなんてほっといて好きに生きよう!

楽しそうに自由に過ごすヴィオラに陰気だった屋敷の使用人も、そして夫も少しずつ変わっていく。

ゆっくりと交流しお互いを知っていく中で絆されていくヴィオラだが、夫とこの屋敷には何か秘密があるようで――。

心に傷を負ったヒーローを癒やしていく能天気な転生令嬢のお話です。

このお話は他サイトでも投稿しています。

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レビュー

  1. Mr.h より:

    フィールディング公爵の意向によりグレンヴィル伯爵家の娘・ヴィオラは公爵の息子で次期当主のアルバート・フィールディングと結婚するも新婚初夜に夫から告げられたのは望んでいるのは公爵夫人としての役目のみであり、自分を愛することもなく、子どもも望まない代わりに金も払うし好きなだけ装飾品を買ってもかまわないという事実上の飼い殺しを宣言される。

    あまりにも自分自身に対して関心が無いことを知ったヴィオラは屋敷で好き勝手に生きることにし、アルバートが新婚早々ヴィオラを放って領地の視察に出かけている二週間の間に様々な植物や草花はなく、ただただ芝生が敷き詰められているだけの庭園や貴族の割に華やかな絵や壺も無く、陰鬱な絵と武骨な兜程度しか無い屋敷の内装を明るく変えることにする――が序盤のストーリー。

    なぜアルバートが不本意な結婚であることを差し引いてもヴィオラに一切の興味を持たないのか、そしてなぜ屋敷と庭園が地味であるのかという謎そしてヴィオラが実は日本で病弱な少女として生涯を閉じたという前世の記憶があるという設定を提示しつつ、その設定がいつ生きてくるのか、そして『一族のDNA』に抗い続けてきたアルバートがいつ『闇堕ち』するのかを読み手に抱かせながら物語を進めているのが分かる上に、意外な人物のサイコパスぶりにも驚かされた。

    男性スタイリストのゴドウィンがいわゆるLGBTQ+ではないにもかかわらずオネエ言葉を使うのには理由があり、現実世界においても女性にとって男性にファッションやメイクされることに生理的な嫌悪感を持っていることが多く、それを避けるために『擬態オネエ』となる必要があるらしく、また、中堅以上の男性美容師が生き残って行くには独立して自分に店を持つか店長のような役職つきにならなければ客がつきにくくなるという現実を反映させている。

    また、読み手が見逃していた、思わぬ部分が伏線そしてアルバートの『秘密と謎』に繋がっており、良い意味で読み手を騙しているのが分かる。