◆完結◆妹に結婚を押し付けられた手違いの妻 ~辺境伯は、拾い物妻との離婚を全力で回避したい~

著者:瑞貴

 自分の価値に気付いていないマーガレットは、この国きっての資産家、ブランドン辺境伯と結婚することになった。

 社交的な妹リリーと比べられた人生で、初めて自分が必要とされた出来事だ。

 ブランドン辺境伯の元へ、幸せの絶頂を噛みしめながら、初めて夫に対面するマーガレット。

「マーガレットだって! 俺が結婚を申し込んだのは、リリーだ」
「この結婚はただの間違いだからな。離婚可能な時期となる半年後までの手違いの夫婦だ」

 待っていたのは、妹リリーへ結婚を申し込んだはずのブランドン辺境伯。
 こんな事になったのは、妹リリーの我儘のせい。
 この結婚は、マーガレットに内緒のまま、リリーから押し付けられたものだった。

 辺境伯が求めていた妻は、当主不在の時に、気難しい個性を持った従者達をまとめて屋敷を仕切れる気概。

「マーガレットが、気難しい叔父上と交流があるのは驚きだな」

 到底マーガレットには出来ないと思っていたが、屋敷にいる偏屈な人物達がマーガレットにどんどん従順になっていく。

「薬を作るって、マーガレットが!」

 リリーの特技だと思っていた、薬草を煎じた薬作り。実はマーガレットの特技だと知った辺境伯。

 マーガレットに恋心を寄せ始め、離婚を取り消したい。
 なのに、鈍感な妻は夫から逃げ続ける。

 夫からの必死のアプローチも空しく、妻には想いが伝わらない。

「俺との離婚祝いか、お前たちの結婚祝いか知らないが、マーガレットへの最初で最後の贈り物だな」

 夫が隊長を務める兵士の1人へ、妻が想いを寄せていると信じ込み、身を引く夫。

 離婚の期限が迫ったその時、妹リリーがマーガレットと辺境伯の前に現れた。
 我儘なリリーは自分に届いている悪条件の縁談話を押し付け、離婚予定の姉に代わって、辺境伯の妻の座を手に入れようとする。

 夫はリリーを追い返すが、それでも2人が両思いであることに気付いていない手違いの夫婦。

 その気持ちは、些細な事をきっかけに通じ合う。

 正式な夫婦になった2人が王都の社交界で見聞きしたものは、自分の価値に気付いていない、マーガレットの本当の評価だ。

 効果抜群の薬を作るのに鈍感すぎる妻と、口が悪いのに紳士的な夫の、すれ違いラブコメディー。

 一途に妻を想う夫の片想い。何をして、何を言えば成就するのか?
 アルファ投稿作品

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