【FLOS COMICさまでコミカライズ連載中! 書籍化準備中/第1部が完結しています】
※『空っぽ聖女でしたが覚醒したので、絶望的だった契約婚も満喫してやります!(でも陛下がお慕いしている大聖女、実は前世の私なので気まずいです)』から改題しました。
年々魔力が減り続けていき、無能な空っぽ聖女だと虐げられていた弱気なティアナ。
呪われた土地と呼ばれる帝国に追いやられる途中、殺されかけ、帝国の大聖女・エルセだった前世を思い出す。
「あら? 少しだけ魔力が戻ってる……?」
妃待遇で迎えられる彼女の夫となるのは、眉目秀麗な皇帝であり、前世での弟子のフェリクスだった。
「これは国が安定するまでの契約結婚です。その後は形だけの妻であるあなたを自由にし、一生の暮らしを保証します」
(あんなに小さかったのに……って最高の条件じゃない!)
前世はとにかく多忙、今世は虐げられっぱなし。
正体を隠したままさっさとこの国を救い、のんびり暮らそうと誓うティアナ。
「愛する人がいるんだ。俺は一生、エルセだけを想って生きていく」(いやそれ、前世の私なんですけど)
ティアナとしてもフェリクスとの距離が縮まっていく中、魔力の減少と帝国の呪いには関わりがあることが判明し──!?
これは空っぽだったティアナが奪われたものを取り戻し、たくさんの大切なもので満たされていくお話です。
カクヨム様でも掲載中です。
レビュー
ティアナ・エヴァレットはファロン王国の聖女だが現在は原因不明により魔力量が枯渇しており、大聖女シルヴィアや他の聖女たちから無能であることを理由に虐げられる日々を送っていた。
そんな中、リーヴィス帝国からの依頼により聖女の派遣を要請され、ティアナに白羽の矢が立てられるが、無能である自身が帝国に行ったところで最終的に酷い扱いを受けることになるため彼女はそれを嫌がるが、嫌々向かうリーヴィス帝国への道中、ファロン王国からの刺客による襲撃を受けたときに自身が今は亡きリーヴィス帝国の聖女エルセ・リースであることそして聖女としての能力が覚醒し、刺客を返り討ちにしてしまう――が序盤のストーリー。
いわゆる『追放ざまあ』の一種ではあるが、ティアナとしての人格とエルセとしての人格が混濁しながら共存する、いわば二重人格ものの要素を取り込むこと、そしてなぜリーヴィス帝国側はティアナが聖女としての力を消失していることを知った上で彼女を迎え入れたのかという謎を提示させることで物語に幅を持たせていることが理解できる。
さりとて、決して『俺TUEEE』になることなく、前世と現世における謎と問題を織り交ぜつつ、少しずつティアナの力を蓄えさせることで、なぜ帝国が呪われているのかという謎ともうまくリンクさせている。