しくじり王太子 ~僕みたいになるな!!~

著者:間咲正樹

 ここはテレア王国の執務室。
 執務官のワッカとサワは、とある人物を待っていた。

「なあサワ、今日来る王太子ってどこの誰だっけ?」
「もう、ワッカは本当に忘れっぽいわね。ニャッポリート王国のダスティン王太子殿下よ」
「ああ、そうだったそうだった。いやあ、どんな話を聞けるのかな。楽しみだ。――ん?」

 その時だった。
 コンコンというノックと共に、執務室に一人の若い男性が入って来た。

「どうも、ダスティンと申します。本日はよろしくお願いします」
「ああ、これはこれはこちらこそ。どうぞよろしくお願いします」
「よろしくお願いいたします」

 お互い軽く挨拶を済ませると、前方にある教壇に立ったダスティン。

「それでは早速ではありますが、僕がどんなしくじりをしてしまったのかを、授業していきたいと思います」

 そう、これはワッカとサワが業務の一環で始めたことで、各国のしくじってしまった王太子から話を聞き、それを反面教師として国の運営に活かそうというものなのである。

「まずは簡単に僕の経歴を説明させていただきます。教科書の1ページ目を開いてください」
「「はい」」

 二人がダスティンお手製の教科書を開くと、天使のような笑顔を浮かべた、可愛らしい赤ちゃんの写真が載っていた。

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