出原悠馬(いずはらゆうま)は才能を持つ人間であった。
運動神経抜群、頭脳明晰、誰もが彼に羨望の眼差しを向け、また彼自身も自分の才能に鼻にかけ調子に乗りまくっていた。
そんなややナルシスト気味な彼は、川を流されていた段ボールにいれられていたぬいぐるみを赤ん坊と勘違いし助けに向かったところで川に溺れてしまう。
なんとか水面へと顔を出した彼の視界には、知らない世界が広がっていた。
そこは、強さの基準が高すぎる異世界。
「すごい! こんなに貧弱で、ひ弱そうな人見たことない!」
人生最大の屈辱を受けて始まる異世界転移。
彼が元居た世界では考えられない強さを持つ、現地の人々。
老人が軽々と大岩を持ち上げ、子供が砲丸と同じ重さのボールでキャッチボールをし、少女がドラゴンを素手でなぎ倒すそんな世界では、彼の身体能力などゴミクズ同然、まさしく雑魚以下の存在へと成り下がったのだ。
最高から最弱への転落。
弱すぎて弱いと認識させてくれない不具合。
全然嬉しくないチートスキル。
常に命の危険が付き纏う逆境異世界で彼は自身の最弱と向き合い、メンタルをボコボコにされながら己の弱さを武器にしていく。
※この物語は異世界コメディです。
レビュー