「愛する人がいる。だから君との夫婦関係は形ばかりのものとしたい」
結婚当日、夫にそう告げられたジュディ。
提示された婚姻期間は一年。
残された僅かな時間。彼女は大切な人を支えるため、必死に努力する。
全ては愛しいあなたのために……。
※他サイトにも掲載中
「愛する人がいる。だから君との夫婦関係は形ばかりのものとしたい」
結婚当日、夫にそう告げられたジュディ。
提示された婚姻期間は一年。
残された僅かな時間。彼女は大切な人を支えるため、必死に努力する。
全ては愛しいあなたのために……。
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レビュー
貧乏男爵の令嬢ジュディは結婚相手で豪商の息子である夫・レナードから結婚は形だけにすると言い渡される。
なぜならこの結婚は実家のキャンプス商会が貴族とのパイプを築くための政略結婚であり、レナードにはミランダという思い人がいたからである。
時が来たら男爵家が豊かに暮らせるほどの慰謝料を払って離縁するというレナードにジュディは、自身が店の若女将として働くことを提案する。
するとジュディはみるみるうちに従業員や義父レナードらの信頼を勝ち取り、その商才を発揮するようになるがその真相は――が本作のあらすじ。
離婚後、キャンプス商会が没落する一方、商人としてのノウハウを得て想い人と再婚したジュディが新進気鋭の商人として追い詰める姿そしてキャンプス商会がブラック企業であることを示唆する内容ははまさに『形を変えた追放ざまあ』と言える。
おそらく作者は本作のように貴族が汗水垂らして働くことなど本来であればあり得ないということは理解しており、物語として成立させるために爵位は貴族の中でも最下層である男爵、しかも貧乏男爵と設定することで物語の整合性を保とうとしていることが分かる。
また、『愛する旦那さま』という言葉を巧みに使い、登場人物と読み手をミスリードしているのが書き手の妙である。