「アイリス・クラウドフォマー、貴様との婚約をこの場で破棄する!」
それは、国王の誕生祭での突然の宣言だった。
「このか弱き令嬢、ソフィア・ランルークに卑劣なことをしていたのはわかっている!」
男の横にいる少女が、驚いたように男を見上げた。
その表情は驚きに満ちている。
それに気づかず男は続けた。
「そんな女をこの国の王妃にするわけにはいかない!!!」
「はぁ?」
何言ってんだこいつ。
誰が王妃だって?!
アイリス・クラウドフォマー
この国のたった一人の“王女”は呆れたように、たった今、婚約破棄を宣言した男、“侯爵家次男”ギルバート・ナーサリを見つめた。
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