テストや受験では、時代遅れの六角鉛筆を転がして、そこに書かれている数字を回答欄に記入することで毎回赤点をギリギリのところで回避し続けていた。
高校まで続けていたサッカー部の活動では、最後の試合でレギュラーメンバーに選ばれなかったかと思ったら、試合の前日にレギュラーメンバーの一人が体調を崩して、代わりにメンバーに選出された。
商店街のくじ引きでは何度も特賞であるハワイ旅行ペアチケットを引き当てて親にプレゼントしたし、先輩に無理やり連れて行かれた競馬やパチンコなどのギャンブルでは必ず勝利を収めて帰還していた。
ついでにここだけの話だけど、去年の年末ジャンボで百万円も当選している。
そんな、幸運な大学三年生”空野 二次”には、誰もが羨むほど可愛い彼女がいた。
これ以上ないほど幸せな日々を送っていた彼の人生はとある人物の一言で終わりを告げることになる。
「余命一年です。」
すい臓がんの発覚により、突然余命宣告をされた彼は、これからの自分の身の振り方に悩んだ。
大切な彼女とのこれからを悩んだ。
死んでしまう自分と共にいる彼女のことが可哀想で、だけど自分からは別れは言い出せなくて。
どうしたものかと考え、そして、思いついた。
僕から別れてと言うのが難しいなら、彼女が二度と僕を思い出したくないと思えばいいんだと。
一世一代の作戦。
名付けて……。
甘くて、切なくて、少しだけ泣ける。
そんな物語が出来れば良いな~と思いますので、どうかお付き合いください。
レビュー