「ざまあぁぁぁぁぁぁぁぁぁみろ」と、裏人格【もう一人のボク】が勇者に突きつけてました。とりあえず貸してた聖剣と経験値は全部返してもらったそうです。

 アルトの所属するパーティは、近衛騎士への登用が内定していた。
 しかしアルトは勇者ザックによってパーティから追放される。

「聖剣も使えない雑魚が近衛騎士なんてありえねぇ。出て行け」

 既に勇者の肩書きを得て、聖剣も覚醒しているザックは、アルトを足手まとい扱いしたのだ。 

 ――しかし、アルトはその実の内に無自覚に最強に上り詰めていた。
 毎日「苦しみの洞窟」で精神を鍛え抜いたことで、別人格である【もう一人のボク】が生まれ、いつの間にか通常は一本しか持てない聖剣を七本持っていたのである。

 そしてその力で偶然王女イリスを助けたことで見出され、ザックに代わって近衛騎士に抜擢されることになる。

 近衛騎士への内定が取り消しになったザックは怒り狂い、アルトに詰め寄る。

「俺 勇者で、聖剣を持ってるんだ。俺の方が近衛騎士にふさわしいだろ!」

 しかし、ザックの聖剣はアルトが貸していたものに過ぎなかった。
 アルトには聖剣を他人に貸し、借り主が得た経験値を吸収する「ソード・リーサー」の持ち主なのであった。

 裏人格のアルトによって聖剣と経験値を取り上げられたザックは、そのまま泣き崩れるしかなかった。

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