婚約破棄をされた後、天使から悪女に変貌したと嘆かれましたが、本人はこちらの方が気に入っているので幸せです

「君のことは愛せない。だから婚約は解消して欲しい」
 五年ぶりに会った婚約者が、女性連れで現れて開口一番こう言った。
 あまりの突然の申し出に衝撃を受けたが、そのままそれを受け入れるわけにはいかなかった。たとえ長らく会っていなかっとしても、八年間も婚約をしていたのだから。
「それは貴方の有責でということですか?」
「僕の有責? なぜ?」
 眉毛一つ動かさす、淡々とした表情のまま彼は短く質問してきた。しかし、浮気をしておきながら、自分の有責に疑問符を付けるなんて、なんて図々しいのかしらと、怒りが増した。
 誰に対しても怒らず優しいバネットは周りの人々から天使と呼ばれている。
 しかしある日、婚約者に呼ばれて街のカフェに出向くと、なんと婚約者が女性連れで現れて、いきなり婚約破棄を突き付けられた。
 しつこく愛情を求めてくる私にもう我慢ができなくなったからだという。
 婚約を解消したことで、これまで気付けなかったことに気付き、新しい人生を踏み出した『天使』とよばれていた侯爵令嬢の話。

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