硬派な殿下は今日も婚約者が気になって仕方がない

著者:らんか

 
 私は今、王宮の庭園で一人、お茶を頂いている。
 婚約者であるイアン・ギルティル第二王子殿下とお茶会をする予定となっているのだが……。
  
「また、いらっしゃらないのですね……」
 
 毎回すっぽかされて、一人でお茶を飲んでから帰るのが当たり前の状態になっていた。 
 第二王子と婚約してからの3年間、相手にされない婚約者として、すっかり周知されていた。 
 イアン殿下は、武芸に秀でており、頭脳明晰で、魔法技術も高い。そのうえ、眉目秀麗ときたもんだ。
 方や私はというと、なんの取り柄もない貧乏伯爵家の娘。
 こんな婚約、誰も納得しないでしょうね……。
 そんな事を考えながら歩いていたら、目の前に大きな柱がある事に気付いた時には、思い切り顔面からぶつかり、私はそのまま気絶し……。  
 意識を取り戻した私に、白衣をきた年配の外国人男性が話しかけてくる。
  
「ああ、気付かれましたか? ファクソン伯爵令嬢」 
 
 ファクソン伯爵令嬢?
 誰?
 私は日本人よね? 
 
 「あ、死んだんだった」

  前世で事故で死んだ記憶が、この頭の痛みと共に思い出すだなんて……。
 これが所謂、転生ってやつなのね。 
 ならば、もう振り向いてもくれない人なんていらない。
 私は第2の人生を謳歌するわ!

 そう決めた途端、今まで無視していた婚約者がいろいろと近づいてくるのは何故!?

この作品はアルファポリスさんでも同時公開しております。

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