失せ恋

著者:桃巴

 女が魔女のもとに訪れる、『忘却薬』が欲しいのだと口にして。
 魔女は全てを吐き出してからだと、女の物語を促した。

「ありふれた話ですわ」

 懐かしむように女は言った。

「私は村外れでひっそり暮らしておりましたの。両親は鬼籍、兄を戦争で亡くして、天涯孤独の身でした。一年前のことです。水汲みで川に向かった際、川岸に打ち上げられていた男を助け介抱しました。目覚めた男はなんと記憶喪失。フフッ、どこぞのおとぎ話のようでございましょ?」

 川岸に打ち上げられていた男と介抱した女の運命の恋が紡がれる。

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