あの日、キミを助けたのはオレでした

高校二年の始業式の日、階段から落ちてきた女の子を助けたのは、有馬優介(ありまゆうすけ)。

しかし、有馬は助けた女の子が気を失っていること、そしてその場に容姿の優れた友人がいたことを利用し、「助けたのはこっちだ」と嘘を吐いた。

有馬は過去に体型や容姿でいじめられていた経験があり、その頃に救った女の子から泣かれてしまった経験から、自分ではなく友人が助けたことにしたほうがいいと思ったからだ。
だが、その場にいたもう一人の女の子――熱海道夏(あたみみちか)は言う。

『本当のことを伝えて』

彼女はしつこいぐらいに、正しくお礼を受け取れと有馬に迫った。

そんな熱海道夏には、七年ものあいだ思い続けている人がいる。
過去に命を救われていたが、お礼を言えないままの――名前もわからず、顔も声も覚えていない、そんな片思いの人が。

※カクヨムにも掲載しています。

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