始まりは赤の他人

レビュー(1件)
著者:菊池 策

「結婚して丸二年も経つのに妊娠しないなんておかしいから病院で診てもらいなさい」と姑は言うけれど、一年以上レスなんだから妊娠するわけがない。
「おかしいのは私の身体じゃなくて、拒み続けるあなたの息子さんの方です」と言いたいけれど、そんなことは口にするのも惨めで言えなかった。

結婚って何だろう? 夫婦って何?

★表紙の素敵なイラストはミカスケ様のフリーイラストをお借りしました♪
http://misoko.net/

2021.03.19 連載開始

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レビュー

  1. 旅人 より:

    結婚して二年目にもかかわらず、夏美は夫の時成からの拒絶を受けて、セックスレスの状態が続いていました。
    義母は孫を望んでおり、そのプレッシャーにも悩まされながら、
    夏美はなぜこの状況に陥ったのかを考えていました。

    ある日、時成の友人が事故で亡くなり、その葬儀から帰京した日が、義母の話と食い違っていたことや、
    時成と亡友の妹である友里恵がSNSで繋がっていることに気付きます。
    これをきっかけに、夏美は時成が自分に対して興味を持っていないことや、
    不倫を疑うようになり……が序盤のストーリーです。

    なぜ時成が子供を望まないのか、という謎を呈示する一方で、
    夏美は状況証拠に加え、決定的な証拠を手に入れることができるのか――
    という心を焦がす展開。
    そして俊平によって時成の無神経さが露呈され、他責思考の一面も描かれます。

    やがて露わになっていく夏美の同僚・加瀬の本性を丁寧に言語化することで
    本人ですら無意識のうちにモンスターへと変貌していく姿を徐々に描いているのがわかります。