濁る瞳で何を願う

出勤時に心筋梗塞で生涯を終えた高倉頼蔵は、農家の三男として異世界で第二の生を得た。

ウォルムという名を与えられ平穏な日常を過ごしていたが、周辺諸国と衝突を続ける祖国は国家の尖兵たる兵士の招集を続け、ウォルムも例外では無かった。

 支度金という値段付けられた命は国家へと買い上げられ、徴兵されたウォルムは最前線に投入される。

平等に訪れる理不尽な死、歓喜と悲鳴が入り交じる略奪と陵辱、取れぬ死臭に濁り行く瞳、否が応でも戦場の狂気に染められ、ウォルムは平時では目覚める筈の無かった闘争の才能を開花させていく。

疲弊し痩せ細る精神を、搾りかすと化した道徳と良心を僅かな偽善で希釈させながら、酒と兵隊煙草で誤魔化す日々。

戦争も終盤に入った祖国ハイセルク帝国であったが、帝国中を震撼させる動乱が起きようとしていた

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