龍の嫁取りの物語

水上家は、集落の豊穣を祈願する巫女の家系。龍の末裔である天沢家と共に地域を見守ってきたが、時代が下がるにつれ、その威光は遠ざかりつつあった。

双子で生まれたため、忌み子として隠され育った主人公は、名前がない。
同じ顔をした姉・水上綾子の影、身代わりとして暮らしている。
虐げられていた彼女は七歳のとき、禊のために訪れた洞窟で銀色の髪を持つお兄さんと出会う。はじめて他人と会話をし、名前をもらった。はじめて『自分』を得た。
しかしそれ以後、お兄さんの姿を見ることはなかった。
それから十年。綾子の許嫁である天沢の息子との祝言が近づく。
姉が嫁げば、自分は存在意義を失ってしまう。
身代わりとして、最後の神事をおこなう前夜。洞窟で禊をする主人公の前に、十年ぶりにお兄さんが現れた。

秘されて生きてきた少女が、頑張って幸せになる、和風の異類婚姻譚です。

※時代設定は、明治大正期あたり。古い慣習が残る地方が舞台。
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