不死鳥の宿り木~「お前は人間ではない」と追放しておいて負傷者が続出して戻ってきてくれなんてもう遅い。『自動再生』の加護は解除されてしまったので。俺は亡国の姫に騎士の忠義を立て……って、なんでデレる?~

著者:葉巻紫煙

「ベンク、お前は人間ではない。純血じゃない魔の血が混じってる者は騎士団にはいらん」

 ある日、リンドヒッジ王国の騎士団の若きエースであるベンクは王様からそう告げられた。

 ベンクは人望も厚く姫の近衛騎士も任せられるほどの実力者だった。その部下達には一切の傷を負わせず、どんな任務でもこなしてきた。

 その秘密は彼のスキル『不死鳥』にあり、ありとあらゆる攻撃を受けても再生する炎の加護を使って部下達のダメージを吸収していたのだ。

「でも、俺の加護は離れると効果がなくなるんだよ! 俺がいなくなると騎士団は大変な事になるぞ!」
「このまま王である私の席まで狙うつもりなのだろう……そうはさせんぞ! 貴様は魔大陸に追放する! 我らの領地に近づいて見ろ。その騎士団が貴様を殺しに来るぞ!」
「な、なんでそんな話になってるんだ……?」

 その裏では、ベンクの出世に嫉妬した古い貴族からの嫉妬により、ベンクにあらぬ罪を着せて王が鵜呑みにするという事態が発生していたのだ。

 危険な魔大陸の雪山に追放されたベンクが出会ったのは冷たい対応と誰ともパーティを組まない事から銀氷の姫と呼ばれている少女だった。

 話しているうちに、その少女はベンクの国が見せしめのために滅ぼした小さな国の王女だった事が分かる。

 ベンクは、お互いが居場所を失っていることが分かると、いつか自分達で居場所を作ろうと実力主義をかかげる帝国で冒険者稼業を始める。しかも、騎士としての仕事を全うしていると、銀氷の姫は距離が近づきさらにはどんどん甘々になっていって……?

 一方で『ダメージ吸収』の加護を失った王国は魔物一匹との戦いでも負傷者が相次ぎ失墜していく。さらに、ベンクを慕っていた騎士もベンクを求めて去って行き、ベンクを愛していた姫と女王による王の弾劾も始まり、王と宰相は落ちぶれていく。

 やはりベンクは必要な存在だったのだ、と気付いた頃には、ベンクは銀氷の姫と共に帝国で成り上がっていたのだった。しかも、騎士としての仕事に殉じるベンクは多くの人を虜にして……?

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