偽りの愛の向こう側

レビュー(1件)
著者:上乃凛子

仕事も彼氏も失った遥菜は、登録に行った派遣会社から希望とは別の仕事を紹介され、家政婦として働きはじめた。

家政婦として働き始めて3ヶ月後、雇い主から契約結婚を提案される。

期間は1年。

悩んだ末に受け入れた遥菜は、雇い主と生活するうちに、少しずつ惹かれていくようになる──。

あなたが私にしてくれることは全て演技だと分かっているのに、
最近それを勘違いしてしまいそうな自分がいる。
そこには愛情も感情もないことは分かっている。
それは契約という偽りの愛だから。

桜井遥菜   28歳 家政婦
綾瀬理人   35歳 綾瀬不動産 営業部長

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レビュー

  1. なーさん より:

    あらすじ

    桜井遙菜は二十九歳の大手広告代理店の営業部アシスタントのOLで同じ営業部で五歳年上の町田清貴と交際中で、清貴からのプロポーズを受け、公表こそしていないが彼との結婚を決めていた。
    ところが、会社の自分宛に清貴の浮気相手と思われる人物から”彼の子を妊娠したので手を引いて欲しい”という旨の手紙が届く。
    清貴は誰かの嫉妬によるイタズラだというが、挨拶のため静岡に向かう車の助手席のシートの角度がいつもと違い、車内に落ちていたピアスを拾い、それをきっかけに喧嘩してしまう。(ピアスは確実に匂わせである)

    後日失意の中、何気なく新宿の東京ヒルトンを訪れた遙菜。以前清貴から告白された場所なのだ。
    そこで偶然、総務部の西田香里に遭遇。そして彼女のピアスから彼女が清貴の浮気相手であり、清貴の姿を目撃してしまい、二人の姿を社内で見続けることに苦痛を覚えた遙菜は会社を辞してしまう。

    それでも仕事をする必要があることから、ひとまず派遣会社に登録することに。
    しかし登録・面談で訪れた派遣会社でどういうわけか社長・湯川海斗と顔を合わせることとなる。
    さらに友人宅での家政婦という本来であれば一般の派遣会社では扱っていない業務、しかも週三回勤務でフルタイム相当の報酬を出すというオファーを受け、戸惑いを覚えながらも面談で顔を合わせたのは大手不動産会社綾瀬不動産の御曹司・綾瀬理人だった。
    家政婦としての仕事をこなす中、遙菜は理人から契約結婚のオファーを受ける……。

    感想

    なぜ派遣会社で社長自らが代わりならいくらでもいるはずの家政婦の仕事を遙菜に紹介したのか、そして雇用主である理人もまた、断る理由を全部潰してまで遙菜に働いてもらうことを望んだのかという謎を呈示しつつ、それがヒルトンでの出来事や湯川との会話で遙菜が相沢梨香子なる人物と瓜二つであることがそのことと関係していることを示唆されていて続きが読みたくなる。