あの夏の匂いを、僕は一生忘れない。

十年前に父を亡くした高校二年生の熊沢 真輝人(くまざわ まきと)は、父の死をきっかけに、心を閉じ込めて生きてきた。
真輝人がひねくれた性格になったのは、死んだ父の影響だった。

ーー父が死んだ、あの夏の日。
あの夏の記憶は、ある匂いと共に閉じ込めてある。
葬式の日に、しくしくと泣いていた真輝人に渡された、赤い花柄のハンカチ。
ハンカチには、名前のわからない花の匂いが染みついていた。
それ以来、真輝人はその匂いを嗅ぐ度に、父のことを思い出すようになる。
あのハンカチを渡してくれた女の子は、一体誰だったのか。

そんな真輝人は、ひょんなことからアロマオイル専門店でバイトをするようになる。
真輝人自身も、自分を変えようと必死に葛藤していたのだ。
人や匂いと触れ合う中で、明るくなっていく現実。
それは、父の死の真相までも明らかにした。

全てを悟った時、真輝人の心に光は差し込むのか……。

アロマオイルが人を繋ぐ、青春ヒューマンドラマ。

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