陽気な僕らは殺人スズメの夢を騙る

 高校一年生になった浅井湊は、保育園児の頃から続けていたサッカーと絶縁することを決めた。
 誰よりも本気でサッカー選手を目指していたため、サッカーのサの字を見る事すら辛いのだ。
 湊の幼馴染であり、クラスメイトでもある谷崎結菜は湊にサッカーを続けて欲しいと願っていた。
 
 ある日の情報の授業。SDGsについて発表するという課題のグループ決めがあり、湊は孤立している少女、笹原小百合を誘う。
 彼女の出身中学は、小学校から大学まである名門の女学園で、そこから公立の高校に来ることはまずありえない。また、彼女は普段誰とも関らず、話さず、笑わず、眼鏡をかけ、地味な女の子として存在感を消しているが、誰もが惹きつけられてしまうほどに整った容姿を持っていた。

 彼女は自分を「人殺し」だと言う。

 彼女の経歴や、態度。不快に思う同級生は、彼女の過去を暴き立てようとする。
 徐々に惹かれていく湊と、そのことに警戒心を強める結菜。湊の他のグループメンバーのそれぞれの思惑もあり、小百合の過去が明らかになっていく。
 彼女が誰をどうして殺したのか。
 誰が悪いのか。

 人を殺したら、その罪は償えるのか。
 
 

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