汎愛陛下が私を溺愛するまでの三年間

メルガ帝国の末姫ルゼアは、帝国に敗北したゼーディス王国の新国王に嫁ぐことになった。相手は先の戦争を経て新たに擁立された新国王陛下、名はマセイアス。
マセイアスは元々ゼーディスの王侯貴族たちからは、汎愛殿下と誹られていたらしい。
国の誰をも愛する愚かな王子殿下であると。身分の分け隔ても、帝国への憎しみも持たない、空っぽの汎愛陛下だと。

 彼の有名な噂は本当で、彼は国民を汎愛していた。
 国民感情を優先させたのか、彼は、結婚初夜さえ一緒にいなかった。

「私は帝国から押しつけられた妻ですもの。重々わきまえているわ」

 ーーそれから数年。
 かつて蝶よ花よと育てられてきたルゼアは、帝国でのいじめも経験しながら一人夫の帰りを待ち続ける妻として過ごしていた。
 気がつけば白い結婚が成立する三年が過ぎようとしていた。
 そんな真夜中、夫が息を切らして帰ってくる。
 結婚式以来の再会をする夫に、ルゼアはついに離縁される覚悟を決めるのだがーー

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー