ギルド『ワールド・オーダー』で、支援職を務めていたアストラル青年。
彼は、戦闘の際に敵の行動を読んで仲間たちに伝える、軍師のような役割をしていた。
しかし邪竜との戦いにおいて、ギルド幹部たちの反感を買ってしまい、「お前のスキルはインチキだ」とギルドから追放されてしまう。
幹部たちは知らなかった。
青年のスキルはインチキなどではなく、すべての過去と未来を見通せる『危機管理』であることを。
アストラルはすべての過去を知ることができるので、初めてのダンジョンでも、モンスターや罠の配置を事前に知ることができた。
もちろん、隠し部屋の配置まですべて知っている。
モンスターとの戦闘になれば、行動すらも事前に察知することができたので、仲間の被害をゼロに抑えていたのだ。
しかし、もう遅い。
アストラルは初めて自由の身となった。
いままでずっとギルドに捧げてきた『危機管理』のスキルを、自分のためだけに使いはじめる。
魔法の箱を被せられ、売り物にならなかった奴隷少女を買い取り、スキルの力で箱の解除方法を調べて解除する。
すると、箱から出てきた少女は、お姫様のような絶世の美少女。
少女はピュリアと名乗り、長き封印から解いてくれたアストラルを神と崇めるようになった。
アストラルの活躍はとどまるところを知らない。
『ワールド・オーダー』のパーティの目の前で、彼らが見つけられなかった隠し部屋からお宝を手に入れる。
『ワールド・オーダー』が経営しているカジノのインチキを、スキルの力を使って暴き出す。
そして『ワールド・オーダー』はついに、アストラルの重要性に気付きはじめる。
アストラルがいたからこそ、自分たちは世界一のギルドへと成り上がることができたのだ、と。
しかし、なにもかもが遅すぎた。
『ワールド・オーダー』はアストラルの呼び戻しに失敗、じょじょに世界一のギルドの座から転落、破滅していく。
勇者の危機を救っていたのに「見せ場を奪った」とギルドから追放された支援職 その絶大なる危機管理能力を活かし、気ままに生きる 「潰すか」と思った時点で、ギルドが破滅する未来が見えましたのページへ
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