「この戦いが終わったら結婚するんだ」と言った後、本当に魔王を倒して帰ってきた結果~完全に死んだと思われていたようで、何故か伝説になっていた。いや、その墓は俺じゃない。お前の隣にいる~

「この戦いが終わったら結婚するんだ、俺」

 世界は魔王軍と人類軍との戦いによって、混沌と化していた。

 冒険者や兵士。戦える者は男女関係なく駆り出され、魔王軍と戦闘を繰り返している。

 そんな中、ルストは勇者として魔王討伐を命じられていた。

「あんた……やる気なの?」

「ああ、覚悟はできている。ネリス。お前はヒーラーとして、ここまで俺たちを連れてきてくれた兵士たちの怪我を癒やしてあげてくれ」

魔王との決戦直後。

同じく勇者として選ばれたネリスには、魔王討伐から離脱してもらうことにした。彼女には戦場は似合わないと思ったからだ。

「故郷にいる俺の婚約者リリアンに伝えてくれ。俺、ネリス様が魔王を討ち取って英雄として帰ってくるってな」

そして、ネリスに自分の婚約者であるリリアンを託した。

典型的な死亡フラグを立てまくったルスト。自分自身もここで恐らく死ぬだろうと思っていた。

だったのだが――。

「生き残っちゃった……」

魔王と共に死ぬ予定だったのに、ルストは生き残ってしまった。あれほど死亡フラグを立てたら普通は死ぬだろ……と困惑しつつ、同時に「今帰ったら気まずいよな」と言う気持ちに苛まれたルストは、しばらく帰らないことを決意した。

少し時間を置けば「英雄が帰ってきた!」と違和感なく溶け込めるだろうと思ったからだ。

しかし現実は違った。

「うわぁ……俺の銅像が建ってる」

「うわぁ……俺のお墓がある」

人類側では、ルストは完全に死んだことになっていた。

これは、完全に死んだと勘違いされた男による魔王討伐後の後日譚。

企画・はにゅう

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