愚か者の婚約破棄

「婚約破棄するよ、ルージェリッタ」

 マキナス王太子殿下が冷たい眼差しで私ーールージェリッタ・エルリアス公爵令嬢へと告げる。
 
「君は教育と称し、彼女ーーココ嬢をはじめとする平民学生をいじめていただろう」

 ーー呆れた。こんな愚か者だとは思いませんでしたわ、マキナス王太子殿下が。

 私はマキナス殿下の隣に立つ女子生徒を見やる。ココ・フリーシアダース。令嬢ではない。平民だ。平民の彼女がここに立っているのは、学園が五年前から平民の入学も許したから。

「お言葉ですが、殿下。その子に私は礼儀作法を教えて差し上げただけです」
「礼儀作法……か」

 冷ややかな眼差しで王太子は見下す。

「貴族だらけの学園で、堂々と大勢の目の前で、身分の低い平民の彼女に……王太子の婚約者である公爵令嬢の君が真正面から正論で斬ることは、マナー違反ではないのか?」
「それは……」

 わからない。王子が言っている意味がわからない。
 礼儀作法を教育してやることは公爵令嬢としての優しさだ。
 
ーーなのに、どうして。なぜ、みんな私を冷たい目で糾弾するの?

◇◇◇

公爵令嬢ざまあです。
平民女も腹黒です。性格が悪い人しか出ません。

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