「シグルド、君はクビだ」
王都テューダーで冒険者として活動するシグルドはある日、所属していたAランク冒険者ギルドからクビを宣告されてしまう。
「はっきり言わないと分からないのかな? 聖剣を持たない君がいると邪魔なんだよ。Sランク昇格の条件知ってるだろう?」
《聖剣》とは実力のある人間が授かる特別な武具である。
しかし、その入手確率は極めて低く、シグルドはギルドで唯一聖剣を持っていなかった。
そのため、S級昇格を目指すリーダーによってシグルドはギルドを追放されてしまうのであった。
それだけでなくギルドのサポーターであるフィーネと仲が良いことから、リーダーの《剣聖》のヴァスティに嫉妬され命まで狙われるようになってしまう。
しかし、ある日……
「あれ? 聖剣がないなら、魔剣を作れば良いんじゃないか?」
シグルドは素材から様々なアイテムを作ることが出来る高位の《クラフトマスター》を持つ《調合士》でもあった。
そして、ふとした思いつきで作り上げた剣は、聖剣と遜色のない強力な魔剣に仕上がったのである。
様々な素材で自由に魔剣をカスタマイズしながら、シグルドは同じようにパーティを追われた者達を集めて新たなギルドを立ち上げる。
一方、シグルドのいたギルド《蒼風の狼》は、これまでアイテムクラフトで的確なサポートをしてきたシグルドを失ったことで連携が崩れ、任務が満足に果たせず徐々に追い詰められていき、苦肉の策としてシグルドに魔剣の製造を依頼する。
しかし……
「お前達がクビにしたのに、魔剣を作らせるなんて都合が良すぎるし、そんな義理も無い」
シグルドは彼らの依頼を断り、新たな仲間達と穏やかな冒険者ライフを送っていくのであった。
レビュー