紺野彩希 二十五歳
都市銀行 住宅ローン担当者
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柏崎玲生 二十五歳
都市銀行 本部
(柏崎グループ 御曹司)
必死で恋をした十八歳。
あなたの香りが残る制セーターも受験のお守りにもらったネクタイも。
すべてが泣きたくなるくらい大切な宝物。
「彩希」
名前を呼ばれて、綺麗な目に映るだけで幸せだった。
あなたには誰よりも大事にしている人がいると知っていた。
それでも『彼女』になりたかった。
溢れる想いは私をどんどん欲張りにする。
「距離をおきたい」
訪れた、突然の別離。
あきらめ方がわからないまま、幼くて必死だった初恋に無理やり蓋をした。
「……好きなんだ」
七年ぶりに再会したあなたは強引に言いはなつ。
「絶対にあきらめない」
抱きしめる腕が、私の心をかきみだす。
重なる唇から伝わる想いに胸が締め付けられる。
……私はもう、あなたに恋をしたくない。
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